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自家消費とは?具体的な仕訳例や所得税・消費税における違いを解説

個人事業主などでは、仕入れた商品や原材料を営業や業務で販売したり提供したりするのではなく、プライベートで消費することもあるでしょう。このようなプライベートでの消費のことを自家消費(家事消費)と呼び、会計上においても適切に処理することが求められています。この記事では自家消費の概要と具体的な仕訳例、そして所得税上と消費税上での計算方法の違いについて詳しく解説します。

 

■自家消費とは

自家消費とは、本来、事業や営業で使うべき備品や原材料をプライベートで使用したり、友達や知人にタダであげたり、割引して提供した場合に行う会計上の処理のことです。

しかし、どのような場合でも自家消費になるわけではありません。考え方の方向性として、自家消費は「商品をプライベートで消費する」ものであり、会計上では「売上」に該当します。つまり事業における収益になるわけです。

自家消費に該当するものとして「売れ残っている商品を自分で食べた」「商品を知人・友人にあげた」「社員にまかないを提供した」「事業で使っていたパソコンを7万円で友人に譲った」などの例が該当します。まかないは本来、お客様のために提供する商品だったはずです。そのため社員に提供した場合は、プライベートな消費とみなされ、自家消費の対象となります。10万円未満のパソコンは、販売時には消耗品とみなされ自家消費の対象になります。

一方、自家消費に該当しないものとして「事業で販売している商品のサンプルを提供した」「事業で使っていたパソコンを25万円で知人に売った」「知人に無料でサービスを提供した」などの例が該当します。販売促進のための活動や、形のないサービスを提供するケースでは、自家消費には該当しません。25万円のパソコンは減価償却資産とみなされるため、これを売った場合は譲渡所得として取り扱われます。

また事業における商品をプライベートで使うのではなく、別の目的で使用した場合は、事業消費として取り扱われます。例えば「ドラッグストアが商品のサンプルをお店に並べた」「ホームセンターが仕入れた商品を備品として使用した」などの場合が該当します。自家消費と事業消費にはこのような違いがありますので、注意しましょう。

 

■自家消費の仕訳例

それでは自家消費の具体的な仕訳例について解説します。ここでは仕入価格が3,000円で、販売価格が5,000円の商品について考えます。

この場合、仕入時の仕訳は以下の通りです。

(借方)仕入 3,000円 (貸方)現金 3,000円

ここで、3,000円で仕入れた商品を自家消費した場合、以下のように仕訳します。

(借方)事業主貸 3,500円 (貸方)家事消費等 3,500円

または

(借方)事業主貸 3,500円 (貸方)売上 3,500円

販売価格が5,000円にもかかわらず、自家消費での売上は3,500円になっています。自家消費の場合、販売価格の70%か、仕入価格のどちらか高い方を自家消費として計上します。この例では、仕入価格が3,000円で、販売価格の70%は5,000×0.7=3,500円なので、3,500円が自家消費の売上になります。

なお借方の「事業主貸」とは、事業のための銀行口座や現金などから、プライベートな支出を行ったときに使用する勘定科目です。

 

■所得税と消費税で異なる計上すべき売り上げ金額

自家消費は事業における売上として扱われると解説しましたが、実は所得税計算と消費税計算とでは、算出すべき売り上げ金額が異なります。先ほど紹介した、販売価格の70%というのは、所得税計算における売り上げ金額です。消費税計算においては、販売価格の50%か仕入価格のどちらか高い方が、自家消費されるべき売り上げ金額となります。

さきほどは所得税計算での売り上げ金額を計算したので、ここでは消費税計算での売り上げ金額を計算しましょう。

・仕入価格:3,000円

・販売価格:5,000円

このとき販売価格の50%は、5,000×0.5=2,500円となるため、仕入価格と比較すると、3,000円の方が高くなります。つまり消費税計算においては、自家消費の売り上げ金額は、3,000円となるのです。

 

■まとめ

小規模事業者においてもサービス業では無縁なことが多いのが自家消費です。しかし自家消費は小売業や飲食業においては発生しやすく、1年分の自家消費が積み重なると、大きな金額になるため、正しく入力されていないと税務調査で指摘される可能性があることを覚えておきましょう。自家消費が不正確であった場合、税務調査官によって金額が決められてしまうこともあるようです。

しかし事業主自らが計上金額を示せれば、そのようなことは起こりにくいでしょう。なぜなら自家消費の根拠を否定することは、税務調査官でも難しいからです。自家消費は意外な指摘事項になりがちですので、適切な計上を心掛けるようにしましょう。

 

 

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