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税務ブログ
経営の安全性を評価する指標の一つに自己資本比率があります。これは総資本における自己資本の割合を表したもので、高い方がよいとされています。この記事では、自己資本比率の考え方と、低い場合と高い場合のそれぞれにおける注意点、具体的な自己資本比率の数値とあわせて解説します。
■自己資本比率とは
自己資本とは、株主からの出資や内部留保など、企業が自力で調達した資本のことです。企業が保有している総資本には、資産・負債・純資産の3つがあり、自己資本は純資産の一部です。自己資本比率とは、総資本における自己資本の割合を表しています。数式で表すと以下のようになります。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本 × 100
自己資本はどこにも返済する必要のない資本ですが、企業は自己資本以外にも借入金や社債など、返済が必要となる資本を調達して経営を行うことが一般的です。つまり自己資本比率とは、企業が資金調達した資本のうち、返済が不要な資本の割合はどれくらいあるのか、という視点で考えることもできます。
もちろん、返済不要な資本の割合が高い方が、財務状況は安定しているといえるでしょう。逆に自己資本比率が低い場合は要注意です。
■自己資本比率が低い場合
自己資本比率が低いということは、その企業には借入金が多いということです。借入金は返済する必要があるため、その企業の資金繰りも当然厳しくなります。また元本の返済に加えて、定期的な利息の支払いもついて回ります。その分、企業の利益も減少するため経営は苦しくなるでしょう。
業種などにもよりますが、自己資本比率は最低でも20%は必要でしょう。固定資産が少なく売掛金や在庫などの流動資産が多い業種でも、最低15%は欲しいところです。
一般的に、自己資本比率が低い企業は信用が低い企業と見られがちです。そのため、もともと借入金に依存していた体質であるのに、さらなる資金調達が困難になるという悪循環も発生します。最悪の場合、企業の倒産という結果にもなりかねません。
資金の調達源として借入金は確かに重要です。しかし安定した経営を行うためには、環境の変化へ柔軟に対応できる体力も欠かせません。いざというときに資金調達しやすい会社にしておくことが、日々の経営において重要なのです。
もし自社の自己資本比率が低い場合は、増資により資本金を増やしたり、獲得した利益を確保して内部留保を増やしたりするのがおすすめです。また運転資金の圧縮や不良資産や遊休資産の処分により、総資本を圧縮する方法もあります。
■自己資本比率が高い場合
一般的には、自己資本比率は高い方が企業の安全性が高いと考えられています。具体的な目安は以下の通りです。
・自己資本比率が70%以上・・・非常に優良
・自己資本比率が50~70%・・・優良
・自己資本比率が40~50%・・・安定
業種によって異なりますが、自己資本比率は30~40%以上あるのが望ましいでしょう。
しかし自己資本比率が高すぎる場合も考えものなのです。
たとえば、資産のうちに長期貸付金や長期前払費用などの流動性の低い固定資産が多く含まれている場合、いざというときに現金が調達できずに支払い困難な状態となってしまいます。そうなると、新たに借入を行って、現金を調達しなければなりません。
自己資本には大きく、株式発行や増資で調達した資金と内部留保による資金の2つがあります。経営により利益があがり内部留保が大きくなった場合と、株式発行や増資で自己資本を大きくした場合とでは、自己資本の中身が大きく異なります。自己資本比率を評価するときには、自己資本の中身についても検討することが重要です。
また自己資本比率が高い場合、新たな借入などによる新規の投資を行っていないと考えることもできます。この場合、売上高が少しずつ減ってきている場合は特に注意が必要です。
■まとめ
自己資本比率は、会社の安定性や独立性を示す指標のひとつです。自己資本比率の見方や計算方法を知っておくと、取引先の安全性のチェックにも役立ちます。また自社の自己資本比率を計算することで、財務上のリスクを把握でき、対策も取りやすくなるでしょう。
自己資本比率は高い方が望ましいのは確かですが、高ければ高いほど良いというものでもなく、逆に低すぎても倒産のリスクが危ぶまれます。金融機関などから融資のリスクが高いと見なされることもあるため、自社の業種の平均程度の数値を保つことが重要です。ご不明な点等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
岩月靖夫税理士事務所
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