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勤怠控除とは?勤怠控除の計算方法や注意点を解説

経理や人事を担当していると「勤怠控除」という言葉を耳にすることがあるでしょう。

勤怠控除は会社の経費や従業員の給与にかかわるため、内容をしっかりと理解しておく必要があります。

そこで、今回は「勤怠控除とは?」をテーマに、そもそも勤怠控除とはどういうものなのか、そして計算方法や注意しておきたいポイントついて解説します。

 

■勤怠控除とは

勤怠控除とは労働基準法24条に定められている「ノーワーク・ノーペイ」の原則をもとにした給与計算の一つです。法律用語がたくさん出てくるので細かく理解することが難しいのですが、わかりやすく説明すると、働いていない時間については給与が発生しないというものです。月給制の場合、月によって勤務日数が異なることがあっても基本給が必ず支給されます。たとえば、お正月休みやGWなどで会社が休みになったとしても、基本給が変わらないとイメージすればわかりやすいでしょう。

しかし、病気やケガで会社を休んだり、遅刻や早退で通常の労働時間よりも短くなったりした場合は、会社が規定する基本の労働時間に満たないため、給与が差し引かれるのです。お正月休みなどの場合は会社自体が休みなので、ノーワーク・ノーペイの原則が適用されませんが、会社が通常通り営業している場合に欠勤や早退等が発生した場合は、その分の給与を差し引きます。このような場合に「勤怠控除」が適用されるので、たとえ月給制であっても給与を差し引くことは問題ないのです。

 

■勤怠控除の計算方法について

①月給額÷年平均の月所定労働日数×欠勤日数

こちらの方法は最もシンプルな計算方法であり、一度計算しておけば、どのタイミングでも使用できるのがメリットです。ただし、1年間の月所定労働日数の平均から計算するので、欠勤等が発生した月によっては、誤差が生じてしまう可能性があります。

(例)

月給額:30万円

年間月所定労働日数:21日

欠勤日数:21日

該当月所定労働日数:22日

30万円÷21日×21日=30万円が控除となり、その月の給与は0円になります。

しかし、実際は所定労働日数22日のうち、21日を欠勤し、1日は労働しているので、1日分の給与が発生しているはずなのです。この計算式の場合はあくまでも1年間の平均月所定労働日数から算出することから、こういったデメリットが発生します。ただ、これについては、年間を通して控除額の過不足がないと判断されるため、労働基準法違反にはなりません。

②月給額÷該当月の所定労働日数×欠勤日数

こちらの方法は、実際に欠勤があった月の所定労働日数から算出する方法です。1つ目の計算方法より、より正確に算出できるというメリットはあるものの、その都度計算しなければならないので手間がかかってしまうというデメリットがあります。

(例)

月給額:30万円

欠勤日数:2日

該当月所定労働日数:22日

30万円÷22日×2日=2万7,272円が控除となり、月給から差し引かれます。

③年間給与額÷年の暦日数×欠勤日数

こちらの方法は、所定労働日数を使わず、カレンダー通りに計算する方法です。こちらの方法は、いつ計算しても控除額が同じなので経理業務の負担を抑えられるというメリットがあります。ただし、従業員が1か月欠勤したとしても、計算上は給与が発生するので、会社の負担が大きくなってしまいます。

(例)

年間給与額:360万円

欠勤日数:3日

該当月所定労働日数:20日

360万円÷365日×3日=2万9,589円が控除となり、月給から差し引かれます。

④月給額÷該当月の暦日数×欠勤日数

4つ目は最も正確に計算できる方法です。ただし、月ごとに計算が必要になるので、経理業務の負担が増えてしまうでしょう。さらに、給与計算が複雑になることも注意しておかなければなりません。

(例)

月給額:30万円

月間の暦日数:31日

欠勤日数:2日

30万円÷31日×2日=1万9,354円が控除となり、月給から差し引かれます。

 

■勤怠控除の注意点について

では、次に勤怠控除における注意しておきたいポイントを紹介します。

  • 病欠時の対応

風邪や熱など、体調不良で会社を休んでしまうこともあるでしょう。その場合、通常であれば勤怠控除によって給与から差し引かれますが、1~3日程度の数日であれば有給休暇を使用するケースも少なくありません。有給休暇扱いにすれば、勤怠控除はされずに給与に変更はないので、経理担当者も従業員も双方にメリットがあるといえるでしょう。

  • 給与前払いの場合

昨今は給与を前払いしている企業も少なくありません。しかし、前払いの場合は従業員が欠勤しないことを前提にして給与を支払っているので、勤怠控除は考慮されていないのです。その場合、あとから従業員に対して控除分の返金を請求することができます。もしくは、翌月の給与から控除する場合もあるでしょう。

  • 退職後の対応

従業員が退職したあとに、過去の給与支払いで勤怠控除の手続きを忘れていたことが発覚した場合は元従業員に対して返金を求めることが可能です。ただし、返金を求められる期間については10年と決められているので、それまでに手続きする必要があります。

  • 休日出勤との相殺

通常、休日出勤との相殺はできないようになっています。ただし、会社と従業員との間で欠勤と休日出勤との相殺について合意を取っている場合に限り、相殺することが認められています。とはいえ、休日出勤の場合は法定休日出勤となり、割増賃金が発生しているので割増賃金分については従業員に支払う必要があります。

 

■まとめ

勤怠控除は法律で規定されているものではなく、あくまでも企業の責任と管理に委ねられています。そのため、国内のすべての企業で行われているわけではないということを理解しておく必要があります。

また、ひとえに勤怠控除といっても、さまざまな種類があるので、それぞれの違いや特徴、さらに計算方法をしっかりと理解しておかなければなりません。

会社と従業員との合意に基づいて勤怠控除が行われるので、就業規則に勤怠控除に関する説明や規定が書かれているか確認しておきましょう。

昨今は働き方の多様化が進んでおり、さまざまな勤務形態や給与形態が確立されています。そのため、勤怠控除を行う場合は、どの計算方法を使用するのか、そして法的に問題ないのかをしっかりと検討した上で、適切に手続きを行いましょう。ご不明な点等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

 

 

 

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