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簡易課税制度とは?計算方法と注意すべき適用の要件

消費税の計算方法には、原則的な計算方法(原則課税)ではなく、中小事業者の事務負担に配慮して、計算方法を簡素化した簡易課税制度というものがあります。

経理にコストを割くのが難しい中小事業者としては、簡便な計算方法が採用できるのは大きなメリットですが、制度の概要や具体的な計算方法がわからないと採用の判断がしづらいものです。

そこで、この記事では簡易課税制度について、概要、計算方式、適用の要件などをまとめました。これから簡易課税制度を検討するなら必見の内容となっているので、ぜひ最後までご一読ください。

 

■簡易課税とはどのような制度か

消費税の計算方法は、原則的には、以下の算式により、納付する消費税額を求めます(原則課税)。

「売上に係る消費税 - 仕入等に係る消費税 = 納付税額」

※仕入等に係る消費税には、販売費や一般管理費などの経費、固定資産を購入した際の消費税額も含まれます。

上記の売上に係る消費税や仕入等に係る消費税というのは、売上や仕入れ、経費などのうち、消費税計算の対象となる(課税)取引のみ抽出して集計したものになります。

集計をする際には、1つ1つの取引ごとに課税かどうかの判断をすることになり、一般的に売上に係る消費税よりも仕入等に係る消費税の方が多種多様に渡るため、中小事業者にとっては実務上、大きな事務負担となります。

この事務負担を軽減するために、中小事業者に限って設けられた制度が簡易課税制度です。

簡易課税制度は、仕入れに係る消費税額を1つ1つの取引ごとに判定して集計することなく、売上に係る消費税額に事業区分ごとの「みなし仕入れ率」を乗じることで、簡便的に仕入等に係る消費税額を算出します。

 

■簡易課税の計算方式とは

簡易課税制度の計算方式を具体的に示すと、

「売上に係る消費税額 - 売上に係る消費税額 × みなし仕入率 = 納付税額」

となります。

  • 事業区分ごとのみなし仕入率

簡易課税制度では事業区分ごとにみなし仕入率を適用しますが、その割合は消費税法により定められていて、下記のようになります。

・第1種事業(卸売業)みなし仕入率:90%

・第2種事業(小売業、食用の農業・林業・漁業)みなし仕入率:80%

・第3種事業(非食用の農業・林業・漁業)みなし仕入率:70%

・第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業、第6種事業以外の事業)みなし仕入率:60%

・第5種事業(運輸通信業、金融・保険業、サービス業<飲食店業に該当するものを除く>)みなし仕入率:50%

・第6種事業(不動産業)みなし仕入率:40%

例えば、課税売上高が2,200万円の小売業を営む事業者の消費税を求めるには、

200万円(売上高にかかる消費税額)- 200万円 × 80%(みなし仕入率)=40万円(納付税額)となります。

  • 2つ以上の事業を営む場合

事業者によっては、複数の事業を営むこともあります。その場合は、原則としては、事業区分ごとの売上げに係る消費税額にそれぞれのみなし仕入率を乗じたものの加重平均値を用いて計算します。

 

■簡易課税制度の適用要件とは

簡易課税制度は中小事業者の事務負担に配慮して設けられた制度であるため、適用するには、一定の要件があります。

その要件とは、

①基準期間の課税売上高が5,000万円未満であること

②簡易課税制度選択届出書を提出すること

この両方を満たすことによって、適用が可能になります。

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円未満

基準期間というのは、法人の場合2事業年度前、個人事業の場合は前々年を指します。この基準期間の課税売上高が5,000万円未満であれば、簡易課税制度が適用できます。

  • 簡易課税制度選択届出書の提出

簡易課税制度を適用するためには、簡易課税制度選択届出書を所轄税務署に提出します。この簡易課税制度選択届出書は、提出期限に注意が必要で、簡易課税制度を適用しようとする事業年度の前事業年度末日までが期限となります。

 

■まとめ

簡易課税制度は、計算が簡便であり、中小事業者にとっては非常に便利な制度です。

事務的なメリットだけでなく、みなし仕入率を使っている影響で、みなし仕入率による消費税額が実際の仕入等に係る消費税額よりも高くなり、本来払うべき消費税額が抑えられるといった便益を享受することもあります。

一方で、固定資産の購入などで実際の仕入等に係る消費税額が大きい場合には、簡易課税制度の方が不利になることもあります。

また、制度上、簡易課税制度は一度選択すると2事業年度継続して適用するという継続適用の縛りもあります。

簡易課税制度は、得をする一方で損をするリスクも内包する制度です。誤った判断をすると大きな損失を被ることもあります。そのため適用に際しては、制度に精通した専門家である税理士に一度相談のうえ判断することをおすすめします。ご不明な点等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

 

 

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