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税務ブログ
確定申告や財務分析などの会計処理において、重要な考え方に減価償却があります。この減価償却は事業における資産の計上では欠かせない考え方ですが、初心者にとっては少し分かりにくいものです。
減価償却の仕訳の方法として、直接法と間接法の2種類があり、費用として計上する金額にも定額法と定率法の2種類があるからです。このような違いが、減価償却という概念を更に分かりにくくしています。
そこでこの記事では、減価償却の考え方や必要となる理由、減価償却の対象となる資産と対象にならない資産の違いなどを詳しく解説します。節税など様々なメリットがある重要な考え方なので、しっかりと理解しておきましょう。
■減価償却の考え方とは
そもそも減価償却とは、事業や営業で必要とされる固定資産が時間の経過とともに価値がなくなっていき、その減額した価値を毎年の費用にする考え方です。
ここでいう固定資産とは、工場の機械や自動車、パソコンなどの資産のことです。このような時間の経過に応じて価値が低下する資産を「減価償却資産」と呼び、購入した時点から1年ごとに費用として計算していきます。
例えば、600万円の機械を購入した場合、毎年100万円ずつ6年間かけて価値を下げていくという方法で経費として計上するケースなどです。このように、購入した年に600万円すべてを費用にするのではなく、少しずつ価値が下がると考えることで、時間をかけて費用にしていきます。
このときの600万円という金額のことを固定資産の「取得価額」といいます。この取得価額に消費税を含めるか含めないかは、事業者の経理方式によって異なります。個人事業主のような免税業者の場合、税込経理となります。
なお、購入した固定資産が購入してから価値がなくなるまでにかかる年数のことを「耐用年数」といいます。この耐用年数は、それぞれの固定資産ごとに決まっているため、自分で勝手に設定することはできません。対象となる固定資産によって大きく異なり、例えば、農業用設備であれば7年間、小型の自動車は4年間、金属製の事務机であれば15年間といった具合です。また耐用年数を過ぎても、その固定資産の価値は最低でも1円は残るようになっています。これは耐用年数が過ぎた資産を0円としてしまうと、形として残っているのか、それとも廃棄してしまったのか分からなくなってしまうからです。形として残っている場合は、固定資産台帳に記録されつづけるようになります。なおソフトウェアや特許権のような形のない無形固定資産の場合、残存価額は0円になります。
また減価償却費の仕訳には、直接法と間接法という2種類があります。これは会計上の減価償却の仕訳の方法が異なるだけで、減価償却費として計上される金額は同じになります。具体的には、固定資産から価値が下がった分を直接減額して仕訳するのが直接法であり、毎年発生する減価償却費の合計を足し合わせて仕訳するのが間接法です。
なお、購入した資産のうち、使用可能期間が1年未満のものや金額が10万円未満のものは、取得に要した金額全てがその年の費用として必要経費に計上されます。つまり減価償却はしないということです。
また、減価償却費の計算方法としては定額法と定率法の2種類があります。毎年同じ金額を費用として計上したい場合は定額法を選び、費用計上する金額を徐々に少なくしたい場合は定率法を選ぶとよいでしょう。資産によっては、税法によって定額法と定率法のどちらを使うべきか定められていることもありますので、事前に確認しておきましょう。
■減価償却が必要な理由
それではなぜ経費を一括計上するのではなく、分割して減額していくのでしょうか。法人の場合、一定の条件では、減価償却は任意とされていますが、減価償却にはいくつかのメリットがあり、法人の場合でも行うことが一般的とされています。
まず、減価償却には節税につながる効果があります。減価償却を行うことで、資産を購入した費用を数年間に分割することができるため、価値がなくなるまでの期間において法人税の税額を減らすことが可能です。
また、減価償却はあくまでも経理上の費用のことであり、現金が直接減少しているわけではありません。そのため費用計上しても、その分の現金は手元に残っていると考えられます。このような性質のため、減価償却費はキャッシュフロー計算書上ではキャッシュのプラスと見なされています。
さらに減価償却の対象となる資産は通常、数年間にわたって事業で使われることが前提とされています。この企業活動において資産の減価償却を行うことで、購入した資産が、毎年どの程度収益に影響を与えたのかという計算が可能になるのです。
なお個人事業主や中小企業においては、30万円未満の資産について、合計で300万円まで全額をまとめて経費にできる「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」というものがあります。
■資産によって減価償却が出来るものと出来ないものがある
実際のところ、資産によっては減価償却されるものとされないものがあります。減価償却される資産は、以下の条件に当てはまるものが該当します。
・企業活動で使用している資産
・時間の経過とともに劣化する資産
上記のような資産は通常、固定資産ですが、これには形のある有形固定資産と形のない無形固定資産の2種類があります。たとえば、建物やパソコン、自動車などは減価償却する有形固定資産であり、ソフトウェアや特許権などは減価償却する無形固定資産です。
企業活動で使用しておらず、時間が経過しても劣化しない資産は減価償却の対象にはなりません。具体的には、土地や借地権、美術品、骨とう品、建設中の建物、棚卸資産などの固定資産が該当します。
美術品や骨とう品は、景気や相場によって価値が変わることがありますが、この変化は時間の経過によるものとは考えないため、減価償却しないと考えます。
建設中の建物は、会計上では建設仮勘定として固定資産に仕訳されますが、減価償却されず、建物の完成後から減価償却されます。また棚卸資産とは分かりやすく言うと在庫のことであり、これは販売後に減価償却ではなく売上原価として費用計上されます。
業務で使用されていない固定資産は収益をもたらしているわけではないため、減価償却の対象となりません。これには稼働していない休止中の資産も含まれます。なお休止中でありながら、いつでも稼働できるように必要な維持改修が施されている資産は、減価償却の対象となるため注意が必要です。
■まとめ
事業で大きな設備を導入する場合、減価償却費は会計において非常に重要な概念です。減価償却の対象となる資産の耐用年数は厳密に決められており、間違わないように税制法の改正がないか、逐次確認しましょう。また一部の中小企業や個人事業主の場合には、特例も利用可能です。特例の利用や設備の購入時の会計に不安があったり、節税になりそうな購入方法を検討したりしたい場合は、当事務所におまかせください。
岩月靖夫税理士事務所
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