0564-73-4018
営業時間 9:00~17:30 定休日 土曜・日曜
税務ブログ
当事務所は医院・クリニックの経営者様から数多くの相談が寄せられています。なかでも多いのが相続税対策です。個人経営の場合、医院・クリニックに関わるものはすべてが相続の対象となります。つまり、事前に対策をしなければ一般的な相続のケースよりも、多額の相続税を課せられるリスクがあるのです。
そこで今回は相続税の対策例として生前贈与にスポットを当てます。相続税対策の中でも生前贈与に興味をお持ちの方はぜひ御覧ください。
■医院・クリニックの経営者は相続税対策が必須
冒頭でお伝えしたとおり、個人開業医の場合、医院の建物、敷地、医療用機器などはすべてが相続対象となります。特に医療用機器は高額になることも多く、十分な対策をしないと残されたご家族に多額の相続税が課税されかねません。その点が一般的な相続のケースと異なる点です。
また、これは一般的な医院・クリニックの場合です。医療法人の場合はまた別の制度が適用されます。いずれにせよ相続税対策に関しては早め早めに動いていく必要があります。その際、多くの方が選択肢として選ぶのが生前贈与です。
■生前贈与を利用し長期的に相続税対策を
生前贈与とは、財産を次の世代に移して、相続時に計算する財産の評価額を減らす取り組みです。通常贈与税は相続税より税率が高いものの、生前贈与の控除や特例などを利用すれば効果的に節税が進められます。具体的には以下のような方法があります。
◯基礎控除を利用
贈与する額が年間110万円までなら税金はかかりません。このような方法を暦年課税と呼びます。基礎控除110万円を超えた場合は、贈与税が発生します。ただ年々、暦年課税については税務署のチェックが厳しくなっている状況です。
◯配偶者控除を利用
婚姻期間が20年以上の夫婦間で適用される制度です。配偶者に居住用不動産を贈与する場合は2000万円までなら控除が受けられます。
◯小規模宅地等の特例を利用
特定居住用宅地等、特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等などに関しては一定の要件を満たした場合は、相続時に土地の評価額の最高80%を減額することができます。
ただし要件が複雑なため、ご興味がおありでしたらぜひお問い合わせいただければと思います。
◯相続時精算課税制度を利用
60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫に贈与が行われた場合、届出をした場合に限り、2,500万円を限度に控除が可能な制度です。本制度を利用すると、暦年贈与や小規模宅地等の特例が利用できなくなりますが、将来値上がりの見込める財産を所持している人にとっては有効な手段です。
■その他の医院の相続税の対策例
次に生前贈与以外の相続税に関する代表的な例を見てみましょう。
◯生前承継
個人クリニックを事業承継する場合は、生前承継を選択すれば効果的な節税対策となります。適切な方法を用いれば、建物、土地、医療機器などを経費に計上することができます。また最近では、「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予および免除」(「個人版事業承継税制」)も注目を集めています。これは個人事業者の後継者が事業用資産を贈与された場合、その事業用資産に係る贈与税の納税が猶予される制度です。もし、後継者の死亡等があれば、猶予されていた贈与税の納付が免除されます。この特例を適用するには、一定の要件を満たす必要がありますが、個人開業の医師や歯科医師も対象です。
◯持分のない社団医療法人の設立
現在医療法人を新たに設立する場合は、出資持分なしに限られています。持分のない医療法人を設立すれば、医院の資産は開業医個人の資産ではなく法人のものです。そのため、相続対象から外れます。ただし、税務署から節税目的の取り組みだとみなされた場合は、税務否認のリスクが高まります。そのリスクを回避するためにも、医療法人には厳格な運営が要求されます。
■まとめ
医院・クリニックの相続・事業承継対策に関しては、長い時間をかけて少しずつ進める必要があります。本業もおろそかにはできないため、早め早めのプランニングが効果的な節税対策に結びつきます。
特に、医者・歯科医師の相続事案については、税務署も厳しく目を光らせている分野です。クライアント様ご自身だけで対策をしていると、思わぬ落とし穴にはまる場合もあります。
特に税制に関しては毎年内容が変わるので、少しでも気になる事があれば、ぜひトラブルを防ぐ上でも一度当事務所まで相談していただければと思います。
岩月靖夫税理士事務所
〒444-0943
愛知県岡崎市矢作町字桜海道21-1
0564-73-4018
https://www.iwatsuki-medical.com/