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総額表示義務はなぜ必要?表示方法や注意点をカンタン解説

■総額表示義務とは

総額表示義務とは、消費税の課税業者が商品を販売したり、サービスを提供したりするときに、消費税の金額を含めた総額価格の表示を義務化することです。

総額表示の義務化は、2013年から2021年までの間は、特例により免除されていたものでしたが、2021年4月1日から完全に遵守することが求められています。

 

■なぜ総額表示の特例が存在したのか?

消費税転嫁対策特別措置法による特例は、2014年4月と2019年10月の2度にわたり実施された消費税の増税が背景にあります。消費税の引き上げのたびに価格の表示を変更するには、コストや手間がかかるため、一定期間はこの特例を設けて総額表示が免除されてきました。

つまり、税抜き価格と税込み価格が適切に区別できれば、税抜き価格のみの表示も認められていたわけです。例えば、「当店の商品は税抜き価格となっております」などの説明を記載することや、商品の値札に「税別」や「本体価格」などの追記により、消費者に対して十分な配慮を行うことです。このような対応をしていれば、特例により総額表示の義務化は免除されていました。

 

■そもそも総額表示義務が必要な理由

総額表示義務が必要な理由は、税抜き表示では消費者が負担する最終的な価格がわかりにくいというデメリットがあったからです。商品やサービスの提供者としては、少しでも表示価格が低い方が、消費者に対して商品やサービスの価格訴求をしやすいというメリットがあり、税抜き価格の表示が主流でした。

しかし消費者は、商品やサービスを購入する際に、本体価格と消費税分を含めた総額の金額を支払います。そのため表示されている価格が税込み価格であれば、消費者が支払うべき金額の総額がわかりやすくなります。また全ての店舗で商品やサービスが総額表示であれば、店舗間での価格の比較が容易になるメリットもあります。これらの理由により、総額表示の義務化が行われたのです。

 

■総額表示義務の対象は?

総額表示の目的は「不特定多数の消費者に価格を表示する」ことです。例えば、値札やパッケージへの印字、商品の陳列棚、ポスター、ECサイトの販売ページ、テレビや新聞の広告などは、総額表示義務の対象です。

一方、見積書や請求書、契約書などについては、不特定多数の消費者が見るわけではないため、総額表示義務の対象外となっています。

 

■具体的な表示方法について

総額表示のOK例とNG例の書き方の具体例をご紹介します。

 

  • OK例(総額が一目でわかる)

33,000円

33,000円(税込み)

33,000円(税抜き 30,000円)

33,000円(うち消費税額等3,000円)

30,000円(税込33,000円)

 

  • NG例(総額が一目でわからない)

30,000円(税別)

30,000円(税抜)

30,000円(税別価格)

30,000円(税抜価格)

30,000円+税

30,000円+消費税

 

■総額表示の注意点と罰則

総額表示を実施には、以下で紹介する4つの注意点があります。

 

1:消費者が認識できる場所に表示する

各商品について消費者がすぐに認識できる場所に総額表示しなければなりません。陳列棚だけでなく、商品ごとの総額表示が望ましいでしょう。

 

2:適切な大きさの文字を使い、強調表示(色の変更など)はしない

総額表示する価格は、消費者が一目でわかるように適切な大きさの文字を使いましょう。その際に、必要以上の色の変更などによる強調表示は控えましょう。

 

3:税抜のメーカー希望小売価格が印刷されている場合

パッケージなどに、メーカー希望小売価格が税抜きで表示されている場合、販売する店舗にて値札やPOPなどを使って、税額表示の金額がわかるように工夫しましょう。

 

4:値引き価格を表示させる場合

「30%オフ」や「3割引」などの表示は総額表示の対象外です。しかし値引き前と値引き後の価格を直接表示させる場合は総額表示の対象です。

 

2021年5月現在では、総額表示を行っていなくても罰則はありません。しかし故意に消費者が勘違いするような価格表示を行うことは、消費者庁が定める不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の違反に該当する可能性があり避けた方が賢明です。

 

■まとめ

・総額表示義務化は商品やサービスの総額を表示するもので、消費者にメリットがある。

・総額表示を行う際には、消費者に税込み価格をわかりやすくするための工夫が必要。

・罰則はないが、故意に勘違いさせる表示を行うと景品表示法違反になる可能性がある。

 

以上、総額表示義務についてご紹介しました。すでに特例による免除期間が終了し義務化が始まっていますが、総額表示への対応は、消費者の満足度が向上する良いきっかけにもなります。そのため、まだ総額表示への移行が済んでいないのであれば、できるだけ早く総額表示に移行することをおすすめします。

 

 

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