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月次試算表とは?読み方と医院クリニック経営との関係

医院クリニック経営において、年に1度の決算の時だけ貸借対照表や損益計算所を作成すれば、問題は起こらないのでしょうか?実は年に1度だけでなく、月単位で集計する月次試算表を作成することで、毎月の利益状況や財政状態を確認できます。月次試算表があれば、将来の設備計画、利益計画などに関して、より機動的かつ小売的に考えることが可能です。

 

■月次試算表とは?

試算表は、仕訳帳から総勘定元帳の各勘定への転記が正確に行われているかどうかを検証するための集計表です。なかでも月次試算表は、それを月単位で集計しているものを指し、月次決算表、残高試算表とも呼ばれます。

月次試算表を作成すれば、自然と貸借対照表や損益計算書が仮の状態で出来上がります。月次試算表は、年次決算のような法的な義務で作成するわけではありません。しかし、年に1度しか貸借対照表や損益計算書を作成しないと、年の途中の実態が不透明なままです。1年たってからようやく結果が見えることになります。月次単位で試算表を作成することで、経営実態を月ごとに捉えられるようになるのです。

 

■月次試算表の目的

月次試算表は、経営改善や経営判断に利用することが目的となります。

現状の経営状況を院長および事務長が把握できれば、年度を待たずに今後の費用の使いみちを考えたり、資金繰りの調整をしたりするなど、スピーディーかつ効率的な経営が行えるようになるのです。

また、月次試算表は、融資を受ける際も有利になるのがメリットです。月次試算表を素早く作成しているということは、月次でも医院の業績を把握し、経営の意思決定もタイムリーに行えているとみなされます。つまり、経営管理が行き届いていると判断されるため、財務内容の信頼性も高まるのです。

 

 

■月次試算表の読み方(チェックポイントなど)

では、月次試算表からはどのようなことが読み取れるのでしょうか。

売上高の動向

単月だけでなく、毎月の売上高の推移が見られます。また昨年度の同じ月と比較すれば、前年対比もわかります。徐々に売上高が減少しているなら、患者さんの数も徐々に減っているのではないかと予想可能です。一方で毎年ある時期に売上高が増加しているなら、季節的な要因で患者さんが増加していると当たりをつけられます。

売上高が高くなる時期の前には、必要な資材を追加購入したり、患者さんが減る時期には、患者さんが増えるような施策を考えたりすることができるわけです。

なお、月次の売上はその月の稼働日数によっても増減します。つまり同月比較でも、その月にたまたま休診日が多い年度ならば、休診日分の売上が減少しているのです。注意してチェックするようにしましょう。

利益の動向

該当月の売上総利益や営業利益が、予定通りに確保できているかを確認しましょう。確保できていない場合は、費用がいつもより増加していないか、それとも売上が減少していないかなどの原因を考えてみましょう。想定される要因によって有用な対応策は変わります。

現金・預金残高などの動向

手元にある実際の現金と月次試算表上の現金が一致しているかを確認しましょう。もしも金額が一致していない場合は、原因を調べて帳簿を修正しなければいけません。また、前月との増減を確認することも大切です。物品を購入した時期と実際に支払いをする時期は、ズレの生じる場合があります。翌月以降の増減もきちんと見積り、支払先に資金が払えないといった資金不足の状態が生じることは避けなければいけません。もし、資金がショートしてしまう可能性があるならば、融資を受けるなどの対応を早めに考えることも重要です。

 

■医院経営における月次試算表の考え方

医院の売上は、毎月一定ではありません。季節的な要因等によって売上が変動すると、医院に入ってくる現金も変動的になります。

「今月が黒字なのか赤字なのか」「来月の支払いに対して現在の現金で足りるのか」「利益を出すには診療報酬の目標をいくらにすればよいのか」など、月次試算表があれば医院の状況を細かく分析できます。結果的に、スピーディーかつ効率的な経営戦略を立てられるのです。またリスクを最小限に抑えつつ医院経営を行えるようになります。

 

■まとめ

損益計算書を見る方がいても、月次試算表は見ないという先生は大勢いらっしゃいます。しかし年に1回だけの決算書を見ても、すぐに経営状況が改善できるものではありません。

安定的・効率的な経営判断を行うためには、月次試算表によって、日頃の経営状態を把握しておきましょう。また、月次試算表は、正確かつスピーディーに作成すれば、より有効に活用することが期待できます。

ただ通常の診療もある中で、タイムリーに月次試算表を作成するのは難しいかもしれません。そのようなお悩みがございましたら、ぜひ当事務所までご相談ください。月次試算表をもとに、どの部分を重点的に改善していけばよいのかなどを含めて、医院経営のアドバイスを行います。

 

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