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税務ブログ
所有している土地の価格が下がるなどで、資産の価額が著しく減少した場合、会計処理が必要なケースがあるのをご存知でしょうか?また固定資産について、減価償却を毎期行うだけで問題ないとお考えではありませんか?
そのようなケースにおいては、減損処理と呼ばれる会計処理を行う必要があります。今回は減損処理の必要性や減価償却との違いについてご説明します。
■減損処理とは?
固定資産の減損とは、資産の収益性が低下し、投資額の回収が見込めなくなった状態を言います。そのような場合、一定の条件下で回収可能性を反映させるように、帳簿価額を減額する会計処理を行う必要があります。それが減損処理です。減損処理は、評価が下がった場合に固定資産の帳簿価額を減少させます。帳簿価額を増加させることはありません。
■減損処理の具体例
診療用の建物の一部を今後使用しないことが確定したり、保有している土地の地価が著しく下落し、回復の見込みが低い予測が立ったりした場合は、減損の兆候を判断されることがあります。
減損の兆候があると判断した場合は、今後該当の固定資産を使用した際、どれだけ将来に現金を生み出してくれるかを計算し、資産価値を算定します。なぜなら、現在帳簿に計上されている固定資産の金額よりも、算出した価値の方が低い場合、そのままだと将来に損失を先送りしてしまうからです。
そこで、減損処理で固定資産の価値を一時的に大幅に下げて、当該期間以降の減価償却費を減らし、固定資産の正しい価値を帳簿価格に反映させる必要があります。減損処理を行うと、会計上は貸借対照表において固定資産が減り、損益計算書では特別損失が計上されます。
■減損処理を行う対象
固定資産の減損の対象となるのは、「有形固定資産」、「無形固定資産」、「投資その他の資産」です。
●有形固定資産
有形固定資産とは、建物や土地、機械装置、車両、工具備品、建設仮勘定など、会社が長期にわたって利用する目的で保有し、かつ実態のある資産のことを言います。
有形固定資産のうち、土地や建設仮勘定を除いたものは使用したり、時間が経過したりするうちに、価値が減少するので「償却性資産」と呼ばれます。反対に土地や建設仮勘定などは「非償却性資産」と呼ばれます。
●無形固定資産
無形固定資産とは、特許権や商標権、借地権、ソフトウェアなどです。実態は有しないものの、経営活動のために、長期間継続的に一定の用益を提供する資産のことを言います。
●投資その他の資産
投資その他の資産とは、投資有価証券、投資不動産、長期貸付金、長期前払費用等などです。長期の貨幣性資産への資金投下や長期前払費用等のことを言います。
※投資有価証券などの金融商品については別途、固定資産の減損とは違う会計基準が存在します。
■減損処理と減価償却の違い
固定資産の価値を減少させる会計処理には、減損処理のほかに減価償却があります。会社や医院の活動において、有形固定資産は使用するたびに経済的価値が減少していきます。
その際各期ごとに、固定資産の価値を計画的・規則的に減少させるのが減価償却です。これは費用配分に関して、経営者の恣意性が介入するのを防止するために行われます。
一方、固定資産の価値が機能的に著しく減少し、実態と乖離していた場合、将来予測を行って固定資産の価値を減少させるのが減損処理です。減損処理は外部の事情が変わるなどで、臨時的に行われる点が減価償却と異なります。
■まとめ
医療法人は非営利的な特質を持っています。そのため、減損会計については、一般企業と同じように収益性を鑑みて処理を行うのは理論的ではありません。
そこで公益法人ではありませんが、医療法人においても「公益法人会計基準」の考え方を採るのが一般的です。「医療法人はどのような場合に減損の兆候があるとみなすのか」「会計処理を行う際の数値の算定をどうするのか」「減損処理を行った場合の財務諸表や経営への影響はどうなるのか」など、当事務所は状況に応じて適切なサポートを行えますので、医院経営でお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。
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