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純資産とは?詳しい見方と医院経営における役割について

貸借対照表を見ていても「総資産」や「純資産」の項目の違いが分からなかったり、金融機関からの融資を考えているときに、どのような指標が見られているのか気になることはありませんか?

今回は純資産とは何かについて説明し、医院経営との関わりについてもまとめていきます。

 

純資産とは?

純資産とは貸借対照表の右下に位置し、自分の元手のことを表しています。元手とは主に、資本金や過去に蓄積した利益などが含まれています。

そして、「純資産」と「負債」の合計は、貸借対照表の左側に位置する「総資産」の金額と一致するのが特徴であり、【「総資産」=「負債」+「純資産」】という式が成り立つのです。

総資産と純資産は言葉が似ているものの、総資産の金額には負債が含まれています。一方で純資産は負債が含まれていない点に注意しましょう。

もう少しわかりやすく言えば、「総資産」とは「負債」(銀行からの借入金など返さなくてはいけないお金)と「純資産」(返さなくてもよい自分の元手)という2種類の調達源泉から取得したお金がどのように使われているかを示しています。

 

自己資本比率について

自分の元手である「自己資本」のうち、自己資本(純資産)と負債の合計から、自己資本の割合を示すのが自己資本比率です。式にすると下記のように示されます。

【自己資本比率=自己資本÷総資産(負債+自己資本)】

自己資本比率は高いほど病院経営の安全度が高いと言えます。なぜなら、返さなくてもよい元手の割合が大きいからです。つまり借入金に頼る割合が小さい状態で経営できていることを示しています。

自己資本比率を増やすには、自己資本の割合を増やすもしくは負債の割合を減らす必要があります。自己資本は過去に蓄積した利益が含まれていますので、利益の向上が自己資本の増加につながります。また、資産を売却した際に余剰金があれば、それを利用して負債の返済に充てることで、負債の割合を減らすことが可能です。

 

医院経営における純資産の役割について

貸借対照表は「経営者の成績表」といわれることもあります。

なぜなら毎年利益を上げることができれば自己資本が増え、自己資本比率も向上するからです。自己資本比率が高いほうが外部からの信用力も増し、資金調達能力も高いといえます。

一方、毎年赤字が続けば自己資本の金額もどんどん減っていきます。この状態が進めば、自己資本自体がマイナスになることもあり「債務超過」となります。債務超過になると貸借対処表の総資産の金額で、自分の財産をすべて売却することができたとしても、負債のすべてを返しきれません。

お金を貸す金融機関や物品を販売する側から見れば、負債を返せない状況で取引を行うには抵抗があります。また、自己資本比率が低いということは借入金が多い、つまり借入金に対する利息を払うという金利負担も高くなり、病院の利益を圧迫する恐れもあります。

将来にわたって継続的で安定的な経営基盤を築くためにも、自己資本比率を増加させていくことが大切です。

 

まとめ

年度の利益に増減があったり、大きな設備投資をするために借入が生じたりすると、自己資本の割合が変動することもあります。また患者様が定着するまでは、費用がかさみ、一時的に自己資本がマイナスになってしまうこともあるかもしれません。

医院・クリニック経営は継続的に活動することを前提としている以上、経営の持久力が問われます。そのためには、自院の現状やリスクのとれる限界を知ることが欠かせません。経営には開業時や医院継承時、医療法人設立時などのステージごとに、戦略を変えていく柔軟さが求められます。財務にお困りのことがあれば、健全な医院経営をサポートできる当事務所までご相談ください。

 

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