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貸借対照表とは?詳しい見方と医院経営における役割について

経営分析をする際、利益が表されている損益計算書(Profit and Loss Statement:P/L)ばかりが注目されがちです。しかし、損益計算書だけではなく貸借対照表(Balance Sheet:B/S)も参照することで、病院経営の実態をより深く理解することができます。今回は貸借対照表の概要や見方、医院の経営における役割についても解説いたします。

 

貸借対照表とは

病院事業の1年間の経営活動を表した決算書の1つとして、貸借対照表があります。ある時点における病院の財産及び債務の状態、つまりどのようにお金を集めて、何に投資したのかを明らかにすることが可能です。

貸借対照表は表にすると左側に「総資産」、右側に「負債」と「純資産」の金額が示され、それぞれの合計金額は必ず一致します。左右のバランスがとれることから、「バランスシート」(Balance Sheetを略して「BS」)とも呼ばれています。

 

病院・クリニックにおける貸借対照表の見方

「総資産」部分は、病院が集めたお金を何に投資したかを示します。例えば財産として所有する建物や機械設備、後払いで販売したときのお金を受け取る権利(売掛金や受取手形など)などです。

一方で「負債」と「純資産」部分は、どのようにお金を集めたかを示します。まず「負債」は、他人や銀行などに返済する必要があるものを示しています。次に「純資産」部分は返済する必要がないものであり、蓄積した利益である「利益剰余金」や自分の元手である「資本金」などが含まれているのが特徴です。

 

貸借対照表において見るべき重要なポイント

貸借対照表において見るべきポイントにはどのようなものがあるでしょうか。例えば、貸借対照表から資金繰りの状況や財政状態の健全性を考察することができます。

 

1:流動資産、流動負債の比率を見る

「総資産」と「負債」はワンイヤールールで、1年以内に現金化が可能かどうかで「流動」もしくは「固定」に区分できます。1年以内に現金化したり、支払いをしたりする必要がある場合は流動的なものです。総資産は流動資産となり、負債は流動負債と分けられます。一方で1年以内に現金化しなかったり、支払いの義務がなかったりする場合、固定資産と固定負債になります。

つまり、すぐに支払わなければならない買掛金といった「流動負債」の割合よりも、現金化しやすい「流動資産」の割合が低ければ、資産を現金化してもすぐに支払いに回る現金になってしまうのです。結果として手持ちの現金が減りやすく、資金繰りが不安定な状態だと捉えることができます。

 

2:財務指標を用い、過去と現在の数値を見比べる

貸借対照表は、ある時点の貸借対照表の状況だけでなく、過去の貸借対照表と見比べることも重要です。前期と当期の貸借対照表を比べ、大きく変動があった勘定科目の増減理由を調べることで利益の改善や悪化につながった要因を推測していくことができます。また、「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」のバランスを見れば、財政状態の健全性や投資効率について考察するために必要な指標を計算することができます。

 

医院経営における賃借対照表の役割

「貸借対照表」は、医院の経営状態を把握する以外にも使えます。たとえば、「最新の設備を導入したい」「病院を移転したい」などの場合、手元資金だけでは足りない状況が発生することがあります。その際は金融機関からお金を借りる必要もあるでしょう。

金融機関は利益が分かる損益計算書だけでなく、病院の財政状態がわかる貸借対照表も分析して、その病院がお金を貸しても返す力があるかどうかを判断します。また、仮にお金を借りる必要がなかった場合でも、税金を申告する際に必要な資料です。

 

まとめ

独立・開業をする場合に、後継者がいないクリニックを継承するケースも増えており、貸借対照表から現状の経営状態を把握しておくことは非常に重要です。改善点の把握やリスク対策もでき、安定した経営をめざせる期待が高まります。当事務所では貴院の決算書をチェックし、医院経営を個別サポートしておりますので、ぜひご相談ください。

 

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